CLTの魅力
「CLT」という素材をご存じでしょうか?
CLTとはCross Laminated Timber(クロス・ラミネイティッド・ティンバー) の略で、木の板を繊維方向が直交するように積層して接着した、大型の構造用木質パネル材料のことです。
1970年代からオーストリア・ドイツ・スイスを中心とした中欧の山岳地域にて木材利用を拡大するために研究が開始された構造用木質パネルで、2000年代にはヨーロッパにて普及し始め、日本でも2010年代には研究が本格化し、公共建築・中規模建築などに使用されるようになりました。
木造建築に新たな可能性をもたらす構造材料として、近年注目を集めています。
CLTは、木材の板を繊維方向が直交するように積層し接着して作られるため、縦横両方向に高い強度と剛性を持ち、変形しにくく寸法安定性に優れているのが特徴です。
CLTの用途
CLTは、主に以下のような用途で使用されます。
壁や床などの構造材
建物の主要な構造部分を構成する材料として使用され、主に床パネルとして採用されることが多いです。厚いパネルを床構造として使用することで、梁の本数を減らし広い空間を作ることができます。
耐荷重性に優れており、振動や音のコントロールにも配慮した設計が可能です。床以外にも壁の構造部分に使用されることもあり、大きなパネルで構成することで、施工を効率化することができます。
壁や天井などの内装材
パネルの木目をそのまま見せることで、構造材と内装の仕上げ材を兼ねることができます。自然な質感や木目を活かし、落ち着いた温かみのある空間を演出できます。また、一定の断熱性や遮音性もあり、機能とデザイン性を兼ね備えています。
屋根材
強度と軽量性があり、防水・断熱処理を施すことで快適で耐久性の高い屋根を実現できます。構造材としてだけでなく、木材の自然な質感を活かして屋根の裏面をそのまま天井仕上げとして見せることができるのも魅力です。
CLTは住宅だけでなく、その高い強度と剛性から学校や公共施設、オフィスビルや中高層建築など、様々な建築に活用されています。
学校・公共施設・オフィスビル
中高層建築や公共施設などの建築物に使用する場合は、主に壁や床などの主要な構造材として利用されます。
厚みがあり剛性が高く、パネル同士を接合することで、建物を面構造として支えることができるため、中規模から中高層の木造建築にも対応することができます。
画像出典:内閣官房HP CLTを活用した建築物の事例 このように建物の構造体として使用され、その木目の美しさから内装の仕上げ材としても使用できるのが特徴です。
次に、CLTを使用するメリットを解説していきます。
高い構造性能
(剛性・耐力)
板を直交に重ねることで縦横両方向に強度を持ち、建物全体を面で支える安定した構造を実現できます。
施工効率の向上
工場で加工された大型パネルを現場で組み立てる施工方法のため、スピード施工が可能になり、工期の短縮や現場作業の簡素化につながります。
環境負荷の低減
木材は再生可能な資源であり、建物として使用することで炭素を固定するため、脱炭素化に貢献できる材料として環境面でのメリットがあります。
構造材と仕上げ材の一体化
CLTは強度を持つ構造材でありながら、表面をそのまま見せて仕上げ材としても利用できるため、内装材の削減や工程の簡略化が可能です。
注意点
CLTを建築材料として使用する際、「安心して快適に使えるか」が重要になります。そこで、注意点と対処法をお伝えいたします。
まず1つ目の懸念点が「火災への不安」です。CLTは木材のため一見燃えやすいように思われますが、実は厚みのあるパネルで構成されているため、火災時には表面が燃えて“炭化層”を形成し、内部への酸素供給や熱の伝達を抑え、急激に燃え進むのを防ぐという特徴があります。その特徴を活かすためには、設計段階での適切な耐火設計が重要です。
2つ目は「水分・湿気による劣化」です。木材は水に弱く、長期間湿気にさらされると劣化やカビの原因になります。対処法として、外壁や屋根への防水・結露対策が適切に行われているかを確認し、換気や除湿を意識することが大切です。
3つ目は「音や振動への配慮」です。木造のため、コンクリートに比べて音や振動が響きやすいと感じる場合があります。床や壁に遮音層や仕上げ材を組み合わせた設計になっているか確認し、ラグやカーペットなどで音対策を行うと効果的です。
CLTは、木材を直交に積層した大型木質パネルで、高い構造性能と施工効率、環境性能を兼ね備えた建築材料です。住宅から公共施設まで幅広く活用でき、快適で温かみのある空間づくりに適しています。これからの持続可能な建築を実現する材料として、CLTの活用を検討してみてはいかがでしょうか。